再読です。大きくひかれたのは2つ。
- はてな(株)はブログで情報共有
- わりとキビシイGoogleの20%-80%ルール
本文によれば、はてなでは、ほぼすべての情報を社内の誰もが読めるブログに書きこむ形で公開し、瞬時に社員全員で共有しているとのこと。
また、Googleの20%-80%ルールとは、就業時間の80%は既存の仕事を、20%の時間はオリジナルな仕事にあてなければならないというもの。「あててもいいよ、やりたければ好きなことをしてもいいよ」ではなくて、「あてなくてはならない」のだそうです。20%の時間を自分独自の新規テーマに使うように奨励され、仮にできない場合には評価に傷がつく。すべての社員に研究者のような行動を求めるというもの。
この2つを掛け合わせられないかな。
想定しているのは主に大学や専門図書館を受託している会社です。そこの(契約)社員(非正規)が受託した図書館で働く場合、スタッフとリーダーという2区分の就業形態があります。ざっくりと、スタッフは主に業務を遂行して時給なんぼ、リーダーはシフトや会議がメインで業務が回らなければ自らも回して月給なんぼ、という別があります。これらひとつの館と複数のスタッフを束ねるリーダーとは別に、複数の館と複数のリーダーを束ねる営業とか営業管理と呼ばれる会社の(正規)社員がいます。
話を戻して、この20%の時間、ざっくりと休憩の1時間をのぞいて7時間の20%で約1時間半を、強制的にブログを書く時間にあてられないかな。無理やり情報共有できないかな。何もいきなり創造的なことを書けというのではなくて、日報くらいから。
本書と、『野村総合研究所はこうして紙を無くした!』で取り上げられていた社内SNSの話を参考に。
- あらかじめ「日報」や「業務」「改善」「課題」「勉強会」「オフ」「その他」などのカテゴリや記事のテンプレートを用意しておく。
- 公開範囲は社内のみ。
- スタッフもリーダーも日報は強制。その他は書くも書かないも自由。書けば、その内容にしたがって評価される。
- 複数館を束ねる営業(管理)は、スタッフ1人1人の現場での働きをなかなか把握できないので、これにより把握・評価につながる。
- スタッフにとっては、自分と相性の良くないリーダーの下にいた場合、そのリーダーの評価が会社(営業)の評価へと一本の道でつながってしまうのが、それとは別の評価ルートやアピールスペースを持つことになる。
- 館によって開館日や開館時間が異なったり、また夜間などの勤務シフトもあるため、全員が集合しての研修というのは行いにくい。その代わりに、情報を共有することが人材の育成、というか自然な自学自習による勝手な成長へとつながるのではないか。
- それに、そうでもないのかもしれないけれど、館がかわってもそれほどかわらない公立図書館よりも、文系や理系あるいは医学薬学系でまったく蔵書や契約データベースが異なる大学や専門図書館では、上から下に全体研修(一斉に育成)できることは少ないんじゃないかしらん。自館での過去の蓄積や、他館の工夫や取り組みをアイデアトリガーにできる仕組みのがよいような気がする。
- 書くのは就業時間内。就業時間外に書いてもその時間を就業時間とは認めない。読むのは24時間、モバイルからでも。
- スタッフ同士の顔が見えれば、つながりやオフでのつき合いが生まれれば、離職率も下がったりしないかね。それには営業もどんどん書けばいいと思うよ。
- なんでおまえがリーダーやねん、とか。なんでこの人がスタッフなん。っていうのもね、その人が書いたものを読むことで、すべて明るみに出ちゃえ。それが適正な評価につながるんじゃないの。
- 人のことは書かない。よいことは書く。
- せっかく複数館を受託していても、スタッフとして通常勤務しているだけでは得られない他館の取り組みや人を知ることができるし、それらは刺激になると思う。個々の館の事情は異なるにせよ、受託する業務は図書館業務で共通しており、直接に役立つ情報も得られるだろうし。
- 会社はこれらブログから得られた情報を蓄積・整理・提供することで、受託した際のノウハウや人材育成にもつながるはず。個への蓄積・伝承から会社への蓄積(ブログ)、整理(wikiとか)、会社からの提供(ポータル)。そんな図書館的なものを会社がとり入れてもよいんじゃないの。図書館的な会社。
- それに情報に関するとこを受託しようと思うのなら、会社にとっても働く人にとっても、世間ほど大きくないにせよ、会社という小さな世界での情報摂取と発信により、比較的安全に火傷できる、もとい情報リテラシーが高まるっていうのはよいことでしょう。
- 図書館員の専門性というのも言われるけれど、看護研究のように強制的に論文を書く機会があるわけでもないし、せめて毎日ブログでも時間をとって書いていれば、嫌でも日報以外の何かに目が向いたり、気づいたり、ひょっとしたら創造されたりもするんじゃないかしらん。
実際にやるとしたら、現場にはそんなPCがないよとか、出来ない理由がいっぱい出てくるだろうし、もっとこまかく詰めないとダメだろうけれど、でも絶対にやった方がよいと思う。今ちょっと苦しくても、やっておけば後で勝てるはず。
現場で生まれては、その現場だけで費消されていた工夫や取り組みが共有されて、その結果、複数館で標準化される。標準化されたところにまた新たな工夫や取り組みが生まれて、共有・標準化・改善、繰り返し、っていうサイクルになってほしい。ていうか、今までの80%の時間で業務を回そうとすれば、必然的に工夫が生まると思うし、工夫が工夫を呼んで、どんどん底上げされると思う。そういう取り組みを会社としてしていくことで、他社との差別化や競争力の強化につながるだろうし、中で働く人が育てば利用者や契約主、あるいは図書館業界や世間にも還元されるものが出てくるんじゃないかな。
導入にはフリーのものを活用すればそれほどコストがかかるわけでもないし、フリーはちょっとねというのでも、自社でがっつりやっても、人材の育成や離職・新規募集採用のコストと比較したらどうなんだろうね。
やらんかな。
野村総合研究所ノンペーパー推進委員会 アスキー・メディアワークス 2010-02-09